信玄餅のご紹介と豆知識 SHINGEN MOCHI
老舗が紡ぐ甘美な歴史|信玄餅に込められた想いと伝統
老舗・金精軒が紡ぐ、信玄餅の伝統と歴史に込められた想い
信玄餅とは、山梨県を代表する銘菓であり、老舗・金精軒が誇る伝統の味です。やわらかな求肥に香ばしいきな粉、とろりとした黒蜜、その素朴ながらも奥深い味わいは、長い年月をかけて職人たちが磨き上げてきた手仕事の結晶といえます。
和菓子の原点に触れたい、あるいは老舗がどのようにして伝統を守り続けているのかを知りたい、そう感じる方も多いのではないでしょうか。
こちらでは、信玄餅の誕生と伝統の物語、老舗が守り抜く味わいの背景をわかりやすく解説します。
さらに、金精軒が語る信玄餅の歴史についても丁寧にご紹介します。
職人の想いとともに受け継がれてきた一粒の魅力を通じて、金精軒という老舗が育んできた和菓子文化の奥深さを感じていただけます。
老舗・金精軒が守り続ける、信玄餅の味と心
山梨県北杜市白州町に本店を構える金精軒は、明治35年創業の老舗和菓子店です。清らかな白州の名水と、山梨県産の梨北米、国産大豆きな粉など、厳選した素材を使用しています。それらの素材を活かし、昔ながらの手づくり製法で丁寧に菓子づくりを行っています。
なかでも代表銘菓である信玄餅は、もち米の香ばしさと、深煎りきな粉の風味、とろりとした黒蜜の調和が魅力です。素朴でありながらも、どこか懐かしく、奥深い味わいが多くの人々に愛されています。
金精軒では、素材の風味を最大限に活かすため、製造から包装まで一つひとつ職人が手作業で行っています。
さらに、季節ごとに限定商品や詰め合わせも販売しており、観光土産としてはもちろん、贈答品としても人気を集めています。店舗ではできたての信玄餅を味わえるほか、オンラインショップでも全国配送が可能です。自宅でも、老舗ならではの繊細な味と伝統をお楽しみいただけます。
100年以上の歴史を持つ金精軒の信玄餅は、単なる和菓子ではなく、山梨の風土と職人の心意気が息づく「文化」です。その受け継がれた味と想いを、ぜひ一度ご堪能ください。
信玄餅の誕生と受け継がれる伝統の物語

信玄餅が広く知られるようになった背景には、1969年に放送された日本初のカラー大河ドラマ『天と地と』の影響があります。上杉謙信と武田信玄が川中島で激突する壮大なシーンには、当時としては前例のない数のエキストラやヘリコプターが投入され、全国に「武田信玄ブーム」を巻き起こしました。この熱気により、「信玄」の名を冠したお菓子として信玄餅も注目を集め、多くの人に親しまれる存在となっていきました。
由来に込められた、山梨の暮らしと想い
信玄餅は、金精軒が1971年(昭和46年)に商標登録した和菓子です。ただし、正確な誕生時期は明らかではなく、「武田信玄が出陣の際、砂糖入りの餅を携帯していた」「お盆に食べる安倍川餅が原型になった」など、いくつかの説が伝えられています。その背景には、山梨の厳しい生活環境と人々の温かい家族愛がありました。かつて作物の乏しい時代、若者たちは出稼ぎや丁稚奉公のため静岡へ向かい、年にわずか二度、お盆と正月だけ帰省していました。家族のもとへ帰るその日だけは、静岡のおいしいものを手土産に持って帰りたい、その思いがやがて郷土の銘菓「信玄餅」へと形を変えたともいわれています。
本家と分家の歴史が紡いだ伝統
信玄餅という和菓子は、かつて「本家・分家・暖簾分け」された数社の金精軒によって販売されていました。当初は金精軒の分家が商標を保有し、製造は台ヶ原金精軒(現在の金精軒製菓株式会社)が担っていました。その後、商標は分家から台ヶ原金精軒に引き継がれ、現在の金精軒製菓が正式にその伝統を受け継いでいます。こうして守られてきた信玄餅は、黒蜜ときな粉をたっぷりまといながら、日本人の勤勉さや家族を想う心に寄り添う和菓子として、半世紀以上にわたり多くの人々に愛され続けています。
老舗が守り続ける、素朴で奥深い味わいの背景

信玄餅の命ともいえる餅生地は、加圧式の大釜で蒸し上げられます。蒸気で蒸す一般的な製法と異なり、圧力をかけることでふっくらと弾力のある食感となります。やわらかさの中にもお米の香りと旨みが際立つよう工夫されています。蒸しあがった生地はほどよく冷まされたのち、ベルトコンベアーに流され、職人たちの手でひとつずつ丁寧に並べられます。重さを量り、形を整えるその作業は、単純に見えて実に繊細なのです。すべての餅に「均一なやさしさ」を込める工程です。
焙煎したてのきな粉が香る、できたての瞬間
朝から焙煎・製粉された国産大豆のきな粉をまとわせた瞬間、信玄餅の「赤ちゃん」が誕生します。ふんわりとした甘い香ばしさが漂い、まるで「おぎゃー」と声を上げるかのように、生命力にあふれた仕上がりです。この信玄餅は、専用の工場で製造されており、虫やほこりが入りにくい衛生的な構造に設計されています。お菓子づくりの要となるのは、敷地内の井戸から湧き出る南アルプス・甲斐駒ヶ岳の伏流水にあります。白州の名水は、日本一のミネラルウォーター採水地として知られるほどの清らかさを誇り、さらに浄水器で磨きをかけることで、より透き通った味わいを生み出しています。
人の手と心で包む、変わらぬおいしさ
白州の名水を使えることへの感謝と、自然を守る使命感を常に持ちながら、金精軒では清掃活動などの地域環境の保全にも力を入れています。信玄餅は、昭和48年に商標登録される以前から親しまれてきたお菓子で、半世紀以上たった今も人の手で包装されています。一日約3万個の信玄餅が生まれる工場では、勤続40年の職人が、1個をわずか6秒で包み上げるほどの熟練の技を持っています。かつてテレビ番組にも出演したその熟練の技は、老舗が誇る「手仕事の象徴」です。
どれだけ時代が進んでも、信玄餅のやさしい味わいは、人の温もりとともに今日も変わらず受け継がれています。
老舗・金精軒が語る信玄餅の歩みと歴史
金精軒の歴史は、創業当初から「自然とともにある和菓子」を信条に、四季折々の素材を生かした菓子を生み出してきました。その姿勢は、現在の信玄餅にも脈々と受け継がれています。時代の流れに左右されず、丁寧な手仕事と素材への敬意を守り続ける姿勢こそ、老舗・金精軒の原点です。
地域文化を紡ぐ、信玄餅の発展
信玄餅は、昭和40年代に誕生しました。発売当初から「山梨を代表するお菓子」として注目を集め、観光客の手土産として瞬く間に全国へ広まりました。金精軒は、ただ名物をつくるのではなく、地元の風土や人の温かさを伝える「文化の担い手」として、信玄餅を通して地域とともに歩んできました。現在では、地元の学校との連携イベントや、観光シーズンに合わせた限定商品も展開し、地域全体を巻き込んだ和菓子文化の継承に力を注いでいます。
未来へとつなぐ、変わらぬ想い
百年以上にわたる歴史の中で、金精軒が決して変えなかったのは「お客様に誠実であること」です。どんなに時代が変わっても、素材の良さと手づくりの温もりを大切にした菓子づくりを続けています。信玄餅は、ただの甘味ではなく、人と人とをつなぐ心の贈りものです。これからも金精軒は、老舗の誇りを胸に、伝統を守りながら新しい挑戦を続けていきます。その一粒に込められた歴史と想いを、ぜひ味わってみてください。
【Q&A】信玄餅と老舗としてのこだわりについての解説
- 信玄餅はどのように誕生し、広まったのですか?
- A.信玄餅が全国に知られるようになったのは、1969年放送の大河ドラマ『天と地と』による武田信玄ブームがきっかけでした。金精軒が1971年(昭和46年)に商標登録したのち、山梨を代表する銘菓として多くの人に親しまれるようになりました。明確な誕生記録は残っていませんが、出稼ぎに出ていた人々が静岡の安倍川餅を持ち帰ったことなど、山梨の暮らしと家族の絆に由来しているともいわれています。
- 信玄餅の素朴で奥深い味わいは、どのようにして生まれるのですか?
- A.金精軒では、もち米粉を加圧式の大釜で蒸し上げることで、ふっくらと弾力のある餅生地に仕上げています。さらに、焙煎したての国産大豆のきな粉や、白州の名水を磨き上げた仕込み水を使用しています。保存料をできる限り使わず、素材の力でおいしさを保つ工夫をしています。信玄餅は、専用工場で衛生的に製造され、包装も今なお人の手によって行われています。こうした丁寧な工程こそが、老舗の味を支えています。
- 老舗・金精軒が長く愛され続けている理由は何ですか?
- A.明治35年の創業以来、金精軒は「自然とともにある和菓子づくり」を信条に歩み続けています。地域の名水を大切に使い、清掃活動など環境保全にも積極的に取り組んでいます。さらに、勤続40年の職人をはじめ、世代を超えて受け継がれる手仕事の技術が、品質と信頼を支えています。伝統を守りながらも新しい挑戦を続ける姿勢が、老舗としての金精軒を今日まで導いている理由です。
会社概要
| 商号 | 金精軒製菓株式会社 |
|---|---|
| 設立年 | 創業 明治35年 |
| 法人改組 |
昭和24年10月1日有限会社設立 昭和49年1月30日株式会社に組織変更 |
| 所在地 | |
| 本社・台ケ原店 |
〒408-0312 山梨県北杜市白州町台ヶ原2211番地 TEL 0551-35-2246 FAX 0551-35-3020 |
| 白州工場 | 〒408-0312 山梨県北杜市白州町台ヶ原2211番地 |
| 白州第2工場 | 〒408-0312 山梨県北杜市白州町台ヶ原433番地 |
| 韮崎営業所・工場 | 〒407-0261 山梨県韮崎市中田町小田川154番地 |
| 金精軒韮崎店 | 〒407-0261 山梨県韮崎市中田町小田川154番地 |
| kinseiken甲府駅前店 | 〒400-0031 山梨県甲府市丸の内1丁目 甲府駅改札外 |
| 資本金 | 5,000万円 |
| 代表者 | 代表取締役 小野光一 |
| 事業内容 | |
| 本社・台ケ原店・白州工場 | 信玄餅を中心とする菓子類の製造と販売 |
| 白州第2工場 | 信玄餅の製造 |
| 韮崎営業所・工場 | 信玄餅の製品化と信玄餅を中心とする菓子類の卸販売 |
|
金精軒韮崎店・ kinseiken甲府駅前店 |
菓子類の販売 |
| 年商 | 8億9600万円 |
| 従業員数 | 100人(令和4年5月末時点) |